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4月14日 『朧月夜に沈んだ夢』

4月14日 『朧月夜に沈んだ夢』

日本では桜がほとんど散り、あたたかな風が夜をやわらかく包む頃。
夜空を見上げれば、月はくっきりとせず、春霞にまぎれてぼんやりと浮かぶ。
朧月夜――。春だけに見られる、この幻想的な光景は、どこか夢の中のようで、現実と非現実の境が曖昧になる。

この夜、私はふと、遠く離れた過去の海を思う。
1912年4月14日、北大西洋の静けさの中、世界最大の豪華客船「タイタニック号」が氷山に衝突し、沈んでいった。
それは、月のない漆黒の夜だったという。

空に月がないということは、海の上には光がないということ。
人々はただ、星のまたたきを頼りに、命の境界をさまよった。

一方で、この日本の春の夜。
霞に覆われた月が、やわらかく地上を照らす。
その淡い光は、何かを包み隠すようであり、何かを思い出させるようでもある。

もしも、あのタイタニックの夜に、朧月が出ていたなら――
その光は、沈みゆく夢を少しだけ、やさしく見守っていたかもしれない。
絶望の中にも、わずかな温もりが残っていたかもしれない。

月は、何も語らない。
ただ、夜の空に浮かび、過去を照らし、現在を見つめ、未来を静かに待っている。

朧月夜に、あの日の海を想う。
それは、夢のように美しく、そして儚い記憶。

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